“ウインド・リバー“を観ました。ツムリです。
「アメリカ最大の失敗」とも語られる白人とネイティブアメリカンの深い溝となった「インディアン強制移住法」(ジャクソン大統領が、1830年に制定した)により、先住民であった彼らは”ウインド・リバー”への移住を余儀なくされました。
ウインド・リバーはロッキー山脈の近くで冬は雪で完全に隔離されてしまいます。
その背景を経て、この映画で起こっていることが実際に起きていることだと考えると正直怒りすら覚えます。
この記事では、”ウィンド・リバー”の
- あらすじ
- 見どころ
- ネタバレ感想
についてまとめています。
広告
目次
“ウインド・リバー”
公開 | 2017年 アメリカ |
監督 | テイラー・シェリダン |
脚本 | テイラー・シェリダン |
本編 | 107分 |
出演 | ジェレミー・レナー エリザベス・オルセン グラハム・グリーン ケルシー・アスビル ギル・バーミンガム ジュリア・ジョーンズ マーティン・センスマイヤー アルテア・サム テオ・ブリオネス |
“ウインド・リバー”あらすじ
アメリカ中西部に位置するネイティブアメリカンの保留地ウインド・リバー。
この地域は一年の大半が雪に覆われた山岳地帯で、冬になると外界から完全にシャットアウトされてしまいます。
そんなウィンド・リバーである日、ネイティブアメリカンの女性の死体が見つかりました。
第一発見者は野生生物局のハンター、コリー・ランバート(ジェレミー・レナー)。
雪を赤く染めるほど血を吐いた状態で、裸足で凍りついたまま発見されたその少女は、コリーの娘エミリーの親友、ナタリーケルシー・アスビルでした。
インディアン部族警察署長のベン(グラハム・グリーン)は、FBI(連邦捜査局)に捜査を依頼しますが、派遣されたのは新人捜査官のジェーン(エリザベス・オルセン)1人だけでした。
ジェーンは過酷な環境での捜査に難渋し、コリーに捜査への協力を依頼します。
ナタリーの検死を行うと裂傷やレイプ痕があり、殺人の可能性が高かったが、直接の死因は冷気を吸ったことによる肺の出血と窒息死であり他殺とは断定されなかった。
捜査を進めて行くとナタリーが極寒の中、10キロもの距離を裸足で逃げていたことが分かり、さらにナタリーの恋人マットの遺体が森の中で見つかる。
コリー、ジェーンらはマットの勤務先である掘削地の捜査を始めるが…。
“ウインド・リバー”見どころ
実際に起きている話
“ウインド・リバー”はネイティブアメリカンの保留地で実際に起こっている話を映画化しています。
保留地と聞くと、ネイティブアメリカンの人たちが守られているような気もしますが、実際のところは、「お好きにどうぞ。こちらは関与しません。」
つまり、何が起きても知りませんということ。
実際に、人が亡くなっており、助けを求めても新米のFBI捜査官が一人到着しただけ。
歴史でいうと、先住民を白人が迫害し追いやった場所というのが保留地になっているんでしょうね。ウインド・リバーを観ていると過ごしやすい場所でもなさそうです。
大昔の迫害の歴史を恥じることなく今日も同じように過ごしていると言えそうです。
もちろん、全員がそうだとは思いません。コリーも白人ですしね。
スナイパー映画・西部劇としての側面
白銀の世界に、全身白の防寒装備でライフルを持ち、害獣などの駆除を行う主人公コリー。
冒頭のオオカミ?の狙撃やクライマックスの狙撃など、見ているとワクワクするような狙撃のシーンがあります。
かといって必要以上に殺さず、あくまで仕事をまっとうするところもかっこいい。
監督のテイラー・シェリダンは、コリーのことを「おしゃべりなカウボーイ」と話しています。
また、本作を西部劇に例える人も多いです、僕のイメージする西部劇とは視点が違いはするものの(カウボーイや騎兵隊が先住民族と戦うイメージ。個人的に。)これは確かに現代版西部劇と言っても良さそうですね。
「この作品は成功しようが失敗しようが作らなければならなかった映画だ」
監督であるテイラー・シェリダンはこう話しています。
“ウィンド・リバー”で女性のレイプ事件や行方不明者が多いという事実を知り、現地でネイティブアメリカンの協力を得て取材を行ったようです。
ネイティブアメリカンの女性の行方不明者に対する統計調査は存在しない。失踪者は不明のままである。
映画の最後に出てくるテロップに感情のやり場がなくなってただ悲しかった。
今作は第70回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にて監督賞を受賞しました。当初は4館のみの限定公開の予定でしたが、口コミで人気を呼び、公開4週目には約520倍の2095館での上映となり、世間にもしっかり認められた作品となりました。
“ウインド・リバー”ネタバレ感想
パッケージを見て、ホラーかな?と思いながら見始めましたが、途中でミステリーやサスペンスの要素を感じどんどん引き込まれていきました。
前半は謎が多く出てきます、
- なぜFBIは新米捜査官一人しかよこさないのか?
- なぜ10㎞もこの極寒の地を裸足で歩いたのか?
- なぜ自然死になると捜査が出来ないのか?
- なぜこんなにも警察が少ないのか?
その答えが、「ウインド・リバーは保留地だから。」
じゃあそれはなぜ?
そこに切り込んだ映画です。
言うなれば、保留地の闇。
“ウインド・リバー“
そもそも最初に住んでいた人を追いやること自体も意味が分からないのに、さらに追いやった場所で犯罪がまかり通ることがさらに不快。
日本にも古くからの差別があってその地域もいまだにあります。
良くないなと思うのは、
差別をしてしまった人に子孫なり関係者が、申し訳なかったと頭を下げても、今度は被害者だった人が、今までやられた分の腹いせにと反撃に出ることもあるそうで、この溝をどう埋めていけばいいのかなと微力ながら頭を悩ませました。
SNSで、黒人の子供と白人の子供がなんの隔たりもなく手を繋いでいる動画を見て、ただ、これだけのことなのになと悲しくなったりもした。
だから、せめて子供達にはそのことをちゃんと伝えていきたい。
被害者にも加害者にもしたくはないから。
【映画】ジョーカーのあらすじとネタバレ感想-R15指定のワケ―
コメントを残す