こんにちわ。tsumuriです。
今年は梅雨が少し長い気がしますね。
雨の日にのんびりと部屋で見る映画もほんとにいいもんです。
今回見た作品は、LGBTとネグレクトに関わる社会的な問題を大きな愛で包む物語です。
この映画は是非見て欲しい。
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目次
チョコレートドーナツ
あらすじ
2012年アメリカ映画。
歌手を夢見ながらゲイバーで、パフォーマーとして働くルディ(アラン・カミング)のもとに、自分がゲイだということを隠し続けている検察官のポール(ギャレット・ディラハント)が訪れる。
2人は心を通い合わせ、交際を始める。
ルディの住むアパートの隣の部屋からはいつも大音量でハードロックが流れていた。
翌日、我慢の限界になり空いていた玄関から入りオーディオを止めた。
ふと気が付くと、ダウン症のマルコ(アイザック・レイヴァ)が誰もいない部屋に取り残されていた。
ルディは検察官のポールに相談に行く。
薬物所持で逮捕された母親から、ネグレクトを受けていたダウン症の少年の監護者になったルディとポールは、本当の家族のように愛情を注ぎ、幸せな時間を過ごしていたが、周りの目は冷ややかだった。
そんな幸せな生活も長くは続かず…。
見どころ
ルディの真っすぐな性格
何に対しても、真っすぐで、愛すること、愛されることの喜びを誰よりも感じているルディは物語の主人公らしく周りを巻き込み、人に影響を与えていく。
マルコが一人で部屋にいた時に、すぐポールに相談をしようと、ポールの事務所に電話を掛けるが取り次いでもらえず、会社まで乗り込んでいく。
激情タイプではあるのだが、後ろからついてくるマルコの手を取り、手を繋いで歩く様にはやはり好感が持てる。
また、マルコの学校が決まり、2人で教室までついてきた後、早く慣れる為にここでお引き取り下さいと教師から促された際に、「私が慣れるには?」と離れる寂しさを演出する場面もいいなぁと思えた。
裁判の際、声を荒げ、「一人の人生の話だぞ、あんたらが気にも留めない人生だ」と叫ぶシーンは本当に一人の幸せを心底願う親のようで胸が熱くなりました。
ポールの変化
ゲイであることをずっと隠してきたルディは会社でも、日常の生活の中でも普通の人として過ごしてきた。
少しづつ理解は広がりつつあったとしても、LGBTに対し世間の目は冷たかったからだ。
監護権を最初に得たとき、マルコの母親にもルディの友人だと話し、関係についてそれ以上のことは言わなかったし、監護権獲得のときもいとこと押し通した(後にそれが少し足を引っ張ることにも…)。
ただ、仕事をクビになり、失うものが無くなって本当に大切なことに気付いていく。
もちろんルディの存在が大きいですが、ポールもまた、マルコの幸せは自分たちの幸せのように感じていて、また、それを守るために声を荒げ、必死に訴える様子でポールの変化を感じてジーンとしました。
マルコの心情
ネグレクトを受け、母親の愛情を一切受けられなかったダウン症のマルコは、当たり前のようにふさぎ込んだ性格になっていました。
ルディとポールに出会うまでは。
そこから二人の愛情を一身に受け、笑い歌い踊るようになります。(それだけでもう涙ものですが…。)
ポールの家に3人で住むようになり、自分の部屋に置いてある様々なものに愛を感じ、「嬉しい」と泣いてしまったり、大好物と言うと出してくれたチョコレートドーナツを笑顔で頬張り「ありがとう」と言ったり。
感情がどんどん表情に現れ始め、幸せを感じていることは誰の目にも明らかで、ルディとポールがそれを支えているのは疑いようのない事実だった。
2人から引き離され、施設から家に送られたときに言った「ここは僕の家じゃない。」というセリフでどれほど2人との生活が幸せだったかが伝わりました。
偏見と差別
ゲイである。たったそれだけでポールは仕事をクビになりました。
例え仕事が出来ても、有能であっても、ただそれだけで世間の目はどこまでも冷やかで、裁判の際に相手の弁護士は心証を悪くするべく、ルディの働いている環境や女装の話を引き合いに出し、裁判長もそこに乗ってしまったのは、やはり偏見が拭えないことを分かりやすく表現している。
結局、この裁判では見えないネグレクトより、目の前のLGBTに差別的な感情を抱いていたのではないでしょうか?
近年になってようやく、LGBTという言葉が認知され始め、少しづつではありますが、そういった方々が暮らしやすい土台ができ始めています。
それでも、まだ日本はその分野では後進国になるでしょうね。
わざわざ人のことをとやかく言わなくてもいいのにといつも思います。
any day now (今すぐにでも)
チョコレートドーナツというのは邦題で、原題は「any day now (今すぐにでも)」です。
これも面白いなとおもったのですが、そもそも今すぐにでも何をしたかったのか。
この映画の言いたい事は、LGBTは誰にとっても無害である、むしろ愛の豊かさや、喜びをよく知っている。
世間が抱いている偏見から今すぐにでも開放しよう。
といった部分です。
そこにダウン症のネグレクトを受けている男の子を出すことによって、ストーリーに入り込みやすくなっています。
そして、邦題はその男の子の好物であるチョコレートドーナツ。
追い詰められたり、解放を急かすようなタイトルからチョコレートドーナツに変わったことで、見る方も心にゆとりが出来たように思います。
衝撃的なラスト
何がとはさすがに書きませんが(バレるでしょうけど。)、このラストで涙した方は多いのではないでしょうか。
僕も急な展開で、驚きのあまり「えっ?」と声を出してしまいました。
この話が実話をもとに作られていることは知っていたので、少なからずショックを受けましたが、実は「同じアパートに住んでいたダウン症の子供を、同性愛者が保護してた」という実話をもとに作られた映画なので大半の部分は創作になります。
それでも、ルディを演じるアラン・カミングの歌や演技の熱は見事にマッチしていて、ドキュメンタリー映画を見ているような気さえします。
著名人の感想
LiLiCoさん(映画コメンテーター)
世の中みんながこのように思いやりをもって人のことを愛してくれたら幸せ。ゆっくり観てから深く考えてほしい。
http://bitters.co.jp/choco/comments.html
宮本亜門さん(演出家)
これは「マイノリティーたちが登場する」という意味合い以上に、人は何を大切に生きるのかを、考えさせてくれます。
環境や状況がどうであれ、まずは自分に正直でいられるのか否か、、
アラン・カミングら、全員の真摯な演技も素晴らしく、何度も涙腺がゆるみました。
http://bitters.co.jp/choco/comments.html
志茂田景樹さん(作家)
愛は性別というくびきを超えて進化する。
なさぬ仲ながらマルコという無垢の子宝を得て進化したのだ。
かたちに表しにくい家族愛をその究極のかたちで見せてくれた。
僕は初めて感動をかたちでもらった。
http://bitters.co.jp/choco/comments.html
まとめ
100人が見て100人が納得する映画なんてない。
それでも、この作品をみて何も思わない人間にだけはなりたくない。
この記事を書きながらそんなことを考えていました。
何も悪いことをしていない人がマイノリティというだけで人に責められる世界にはしたくないなぁ。
優しくしてあげる必要も特にない。
同じ目線で話をして、同じ目線で考えてほしい。
この映画はいい映画だ。
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