“つみきのいえ“という12分のアニメーションをご存じですか?
海面が上昇するにつれ、積み木のように家の上にレンガを積み上げ、同じ場所に住み続ける1人のおじいさん。
住人たちが次々に町を離れる中、そこに住み続ける理由とは…。
“つみきのいえ”
- “つみきのいえ”のあらすじ
- “つみきのいえ”ネタバレ感想
- “つみきのいえ”見どころ
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目次
“つみきのいえ“
公開 | 2008年 10月 日本 |
監督 | 加藤久仁生 |
脚本 | 平田 研也 |
本編 | 12分3秒 |
出演 | 長澤まさみ(日本語版のみナレーションあり) |
“つみきのいえ”あらすじ
海の上にぽつんと顔を出す家に、1人のおじいさんが住んでいました。
壁にはたくさんの写真が飾られており、部屋の中央には床にもドアがついており、おじいさんはそのドアを開け釣り糸をたらしのんびりと暮らしていました。
ある朝、目を覚ましたおじいさんがベッドから足を下すと床一面が水浸しになっていました。
海面の上昇によって、この町に住んでいたほとんどの人は家を捨て町を離れていました。
おじいさんはレンガを届けてもらい、家の屋根に積み始めました。
今までも、積み木のように家の上に家を建て、ずっとこの場所で過ごしていたおじいさん。
慣れた手つきでレンガを積み上げていきます。
家が完成し、水浸しになっていた家具や壁の写真を移動させようとしているときに、誤って大事なパイプを落としてしまいます。
部屋の真ん中につけていた床の扉を開けていたので、その下の部屋、そのまた下の部屋へとパイプは落ちて行ってしまいます。
なんとか引っ越しも終わりお気に入りのパイプを吟味していたときに、潜水服を飾ってある行商船を見かけます。
ダイバー姿になったおじいさんはパイプを探すため部屋の中央から潜っていきます。
パイプはもう一つ下の部屋で見つけました。
パイプを拾った瞬間あばあさんとの思い出が蘇りました。
おばあさんとずっと一緒に過ごしていたこの家。
おじいさんは、さらにドアを開き、潜っていきます。
下の部屋の隅にはベッドがありました。
寝たきりになったおばあさんのお世話をする日々。
娘の婚約相手を紹介してもらった日。
ドアをくぐり抜ける度に様々な思い出が蘇ります。
そして、一番下にある、一番最初に出来た家に到着しました。
この家におじいさんが1人になってもこの場所から離れない理由があったのです。
“つみきのいえ”ネタバレ感想
まず最初に思ったのは外国の絵本かな?
ということでした。
絵の質感がとてもやさしくて温かいと共に、陰影がどこかもの悲しく映ることと、主人公のおじいさんが外国人のようなので、余計に外国の絵本の感じがしたのかも。
海面が上昇するという温暖化問題に注目したようなストーリーではありますが、作者の加藤監督はおじいさんの生活を淡々と描くことに注力したそうです。
それにより、見た人が、自分の大切なものや過ぎ去った日常に対してどうするか考えるきっかけになればいいと考えていたようです。
実際のところおじいさんは、過去を見て、過去と共に生きることを今一度
決心しました。
グラスを合わせたときの表情が前向きな人生を物語っていましたね。
若いころ、奥さんと一緒にレンガを積み、文字通り2人で作ったこの家にこれからも変わらず暮らしていく。
そんな小さな決意の乾杯に見えました。
“つみきのいえ”見どころ
とある場所に暮らすおじいさんを描いた短編アニメーションですが、見る人の心に訴えかけてくるものがあります。
アカデミー賞 受賞!
“つみきのいえ”は数々の賞を受賞しています。なかでも、
第81回アカデミー賞 短編アニメーション賞
短編アニメーション部門では日本映画で初の受賞という快挙を成し遂げ、世界的にも評価された作品です。
質感のこだわり
また、加藤監督は質感にもこだわっています。
えんぴつの質感にこだわり抜いた結果、製作期間が3か月から8か月に伸びてしまい始末書を書かされたとか笑
おじいさんが送る日常を淡々としたものにしたために背景を書ききれなかったとも話していましたが、陰影の深さだったり、回想シーンでの色遣いなど細かな思いが見受けられました。
見た人に考えさせる
監督の思いとして、見た人が考えるきっかけになればいいなという思いがあったとのこと。
大切な人や、過ぎ去った時間に触れたとき、自分はどんなことを思い、どんな風な行動に移すだろう。
おじいさんの一生は、我々と大きな違いはありません。
大きな災害がやってくることがあっても、わたしたちはそれでもなんとか生きていきます。
どのような環境にあっても、淡々と日常を送ることがどれだけ大変で楽しいものか。
その中で手から離れていくものに対してどんな思いやりをもてるのか。
そんなことを考えさせられる12分3秒です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
実際のところ、そこまで物珍しい内容ではありませんし、ありふれた内容と言っても過言ではありません。
ただ、だからこそ良いような気がします。
この質感だからこそ、このストーリーやおじいさんの心情に寄り添え、尚且つ自分ならどうだろうと考えることが出来るんじゃないかと思います。
遠い国のお話のようですが、どこにでもあるお話。
あなたのお話。
このアニメーションを基に絵本も作成されています。
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