フランス映画にしては爽やかで分かりやすいストーリーの”エール!”
ストーリーの展開が割と広くて、好みが分かれそうですが、アマプラでの評価は星4.4!
是非ご覧になってください!
大きなくくりにすると感動モノのコメディ映画です。
- あらすじ
- 見どころ
- ネタバレ感想
“エール!”について解説致します~
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目次
“エール!”
公開 | 2014年 フランス フレンチコメディードラマ映画 |
監督・脚本 | エリック・ラルティゴ |
本編 | 105分 |
出演 | カリン・ヴィアール フランソワ・ダミアン エリック・エルモスニーノ・ ルアンヌ・エメラ |
“エール!”あらすじ
フランスの片田舎に住むポーラは家族4人暮らし。
畜産業を営んでおり、家畜を育て、チーズを売って暮らしていました。
明るく、仲睦まじい家族ですが、ポーラ以外の3人は聾啞者(聴覚障碍者)でした。
チーズを市場で売る時も、病院で医師と話す時も、ポーラに通訳をお願いしなくてはなりません。
学校と家の手伝い、パワフルな家族の通訳にポーラは疲れ果て、授業中にうとうとと眠ってしまうこともしばしば。
親友のマチルデと選択授業を同じ科目にしようと話していましたが、ポーラは想いを寄せるガブリエルがコーラスの授業を選んだことを知り、マチルデと共にコーラスを選択します。
コーラスの授業を担当する教師のトマソンは昔プロとして活動していたこともあり、授業の参加の可否を歌のテストで決めます。
マチルデはテストに落ちてしまいますが、ポーラは「くだらない。」と発しただけでアルトとしてテストに合格します。
家に帰るとテレビで村長のインタビューが流れていました。
耳の聞こえない両親は、帰ってきたポーラを引っ張り、村長の話を手話で伝えるように言います。
村長は森を破壊して商業施設を建設することを目指していると話していました。
農場を追いやられる可能性があると考えた父・ロドルフは自分が村長選に立候補すると言い出します。
盛り上がる両親と弟とは裏腹に、ポーラは心配でなりませんでした。
意中のガブリエルのキスシーンを見てしまい、一気にテンションの下がるポーラでしたが、トマソンの指導で自分の歌の可能性に気付きます。
トマソンは年末の舞台でガブリエルとのデュオを提案します。憧れのガブリエルとのデュオに胸躍らせるポーラでした。
一方、村長選を控え火花を散らすロドルフ。
現村長からの「聾唖者が当選すると思っているのか?」という皮肉に、ポーラは「バカを選ぶよりマシ。」と徹底抗戦します。
ポーラは家族とロドルフの友人たちと作戦会議を開きます。
腹黒い村長に勝ち目はないんじゃないかという仲間の心配に対し、自分の運命は自分で決めるというロドルフの力強い演説に集まった仲間の結束はより強まりました。
年末の舞台に向け、練習を始めたポーラとガブリエルですが、中々上手く表現が出来ず、トマソンにダメ出しをされながら練習を続けます。
時間外に練習するため、ガブリエルはポーラの家を訪れますが、家族のことは話していませんでした。
トマソンに言われたスローダンスを踊りながら練習をしていると、ポーラが突然部屋を飛び出してトイレに駆け込みます。
心配して追いかけてきたガブリエルに母親のジジを呼んでくるように頼みます。会話が出来ないことに戸惑いながらもなんとか伝えると、ジジはポーラの下へ駆けつけます。
ポーラはようやく訪れた初潮にパニックになっていました。
ジジはと言えば、あっけらかんとした性格が災いし、血の付いたズボンを持って大はしゃぎします。
自分の娘がようやく女になったことの喜びですが、この騒ぎのせいでガブリエルにも何が起こっていたのか伝わってしまいました。
翌日、学校に広まっており、ポーラはコーラスの練習前にバラしたガブリエルをひっぱたきます。
怒りに任せて歌っていると、トマソンはポーラに才能があると話し、オーディションを受け、パリで歌の指導を受けること勧めます。
しかし、ポーラは耳の聞こえない家族を置いていけないと考え、その話を断わりました。
マチルデに背中を押され、数日後にオーディションを受ける決意をトマソンに伝えるポーラ。
合格すればパリで暮らすことになる大事なことでしたが、家族にはまだ話していませんでした…。
“エール!”見どころ
家族の絆
フランスの片田舎で畜産業を営むベリエ一家はとにかく家族の愛情が強い。
いや、強すぎる。
ポーラを除く3人が聾唖者ということもあり、個性を持った家族だからこその繋がりの深さかもしれません。
父・ロドルフと母・ジジの愛情が特に深い。
パリに行きたいポーラに対し、育て方を間違えたと泣きながら訴えるジジ。
2人の対立の最中、「二人にしてくれ。」とポーラを遠ざけ、ジジを抱きしめるロドルフでした。
ドタバタコメディ&ちょっとエロ
愉快で痛快な家族がメインなところもあり、コメディ要素が強めです。
村長が市場に来て、ベリエ家のチーズ店に来る度に、ロドルフは村長が分からないのをいいことに手話で悪態をつきます笑
慌ててポーラが社交辞令を述べますが、「バカ村長め!」からの「はり倒す!」は笑いました。
母親のジジもなかなかぶっ飛んだキャラで、医者に告げられた「3週間の性交禁止」にあからさまにふくれてみたり、ポーラの初潮を家中駆け回るほど喜んだりとドタバタ感を出してきます。
親友のマチルデは男性経験豊富で、男をとっかえひっかえしていました。彼氏が出来たことすらないポーラの親友ではありますがそこは正反対。
そして、ついにポーラの弟・クエンティンと一線を越えそうになりますが、クエンティンのまさかのラテックスアレルギーで試合終了。笑
まぁネタが尽きない家族です。
ポーラの歌唱シーン
ガブリエルとポーラのデュオも大絶賛のうちに幕を閉じますが、クライマックスのポーラのオーディションのシーンは涙なくしては見れません。
最初はパリ行きに反対していた家族でしたが、自分たちには何も分からない世界で大勢の観客が興奮し、涙を流し、ポーラに拍手を送っている風景を見て家族みんなでオーディション会場に行きます。
しかし、課題としてポーラが提案した曲を伴奏者は「楽譜がばいから弾けない」と言います。
そこに現れたのはトマソンでした!
ガブリエルにオーディションを受けることを連絡した後、トマソンと二人で会場に駆け付けたのでした!
伴奏を代わると自ら志願し、ポーラの緊張をほぐし、いざ歌い始めます。
途中から、家族にもこの歌が伝わるようにと手話を交えて歌い続けます。
家族に伝える旅立ちの歌でした。
“エール!”悪評
フランス語手話への尊重なし!?
今作に出演している聴覚障害者の俳優はポーラの弟を演じるリュック・ゲルバーグ、ブルーノ・ゴミラなどで両親演じるカリンヴィアールとフランソワダミアンはそういったハンデのない俳優です。
劇中で使われている手話はフランス語の為、所々で字幕が必要になります。
手話が不適切だったり、聴覚障害者の役を演じているのがハンデのない役者だということにフランスのろう協会の面々は腹を立てているようです。
LaFamilleBélierは今年のAmelieとして宣伝されていますが、ろうコミュニティの多くの人がそれに憤慨しているのはなぜですか?(independent)
確かにこの映画のコミカルな部分の大半を担っているのが、カリンヴィアールとフランソワダミアン演じるジジとロドルフです。
2人のオーバーなリアクションや間違った手話(フランス語手話を使う方からすると)は聴覚障害者の方からすると面白くないのかもしれません。
自分たちが笑い物にされているように感じたんでしょうね。
また、カリンヴィアールは
「聴覚障害者は礼儀正しさと外交を求めません」
「彼らはエネルギッシュなピエロのようで、自分の体を使って自分自身を表現しています。私のように。」
とのコメントを残しています。
神経質な役どころの多いカリンだからこその一波乱でしょうか。
ネガティブに捉えると問題ですが、目を向けるいい機会にもなりそうな気もします。
ただ、偏ったイメージや色眼鏡でで見られるのも好まないでしょうし難しいところですね。
個人的には偏っていても、一つの問題や可能性として認知度が上がる方が有益なのでは?と感じます。
実際に映画は大ヒットし、ハリウッドでのリメイクも決まったほどですし。
何よりカリンはリュミエール賞を受賞しています。
“エール!”まとめ
いかがだったでしょう?
フランスのヒューマンコメディ映画”エール!”について解説致しました。
大好きなアマプラのおススメに出てきたので前情報無しに鑑賞したのですが、後半はティッシュとお友達に笑
正直ツッコミどころはあります。
序盤、どのように展開させたいのかよく分からず、恋愛ものなのか、コメディなのか、聾唖者による社会的なメッセージなのかと思いながら見ていた途端に、急に音楽の要素が加わり、一気に情報過多な展開に笑
ポーラの歌の才能から、聾唖者の現状や思いなんかを伝えるべく展開するかと思いきや、歌きっかけに一気にヒューマンドラマに突入。
二転三転するような映画でしたが、終わってみればハッピーエンド。
個人的に嫌いな展開じゃなかったですし、105分というサイズ感もちょうどよかった。
エンディングのちょっとした仕掛けにもニヤリと出来たので皆さんにおススメした作品です。
ハリウッド版は正直興味はあまりないですが機会があれば見てみます!
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