“9人の翻訳家 囚われたベストセラー”を鑑賞しました。
事実を基に制作されたフィクションで、ミステリー作品です。
人気小説である『デダリュス』完結編を世界同時発売する為、出版社の社長エリック・アングストロームは9人の翻訳家を集め、地下にあるのネット環境のない施設で軟禁状態での翻訳作業を始めます。
ところが、しばらくして、『デダリュス』の冒頭の10ページがネットにアップし、続きをアップされたくなければ500万ユーロ支払えという脅迫を受けます。
内容を知っているのはここにいるメンバーだけのはず。
エリックは犯人を捜すため、部下と徹底的に調査を始めますが….。
“9人の翻訳家 囚われたベストセラー”について解説します。
- あらすじ
- 見どころ
- ネタバレ感想
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目次
“9人の翻訳家 囚われたベストセラー”
公開 | 2019年チェコ(フランス映画祭) 日本では2020年 公開 |
監督 | レジス・ロワンサル |
脚本 | レジス・ロワンサル |
本編 | 105分 |
出演 | ランベール・ウィルソン オルガ・キュリレンコ アレックス・ロウザー |
“9人の翻訳家 囚われたベストセラー”あらすじ
世界的に大ヒットした小説『デダリュス』三部作の完結編「死にたくなかった男」の本が、世界で同時に発売されるとニュースになります。
出版権を得たアングストローム社の社長エリック・アングストローム(ランベール・ウィルソン)は、マスコミの前で、翻訳を開始し、3月に世界各国で販売を開始すると話します。
エリックは9人の翻訳家をフランスに集め、地下室で軟禁状態のまま翻訳を始めさせます。
もちろん、集められたメンバーも同意の上でした。
9人の翻訳家は、荷物チェックをされ、ICレコーダーやスマートフォンなど外部と連絡を取れるものや記録するものなどは没収されました。
核戦争に備えて作ったと言われる豪邸の地下には、プール、ボウリング場、シアタールームもありました。
9人はここで2か月ほど過ごしながら翻訳を進めることになります。
監視役のスタッフが巡回する中、黙々と翻訳の作業を進めるメンバー達。
作業後に9人は一緒に食事をとり、『デダリュス』について話し始めます。
彼らにとってもとても興味がある作品だったのです。
エリックは書店の店主であるジョルジュ(パトリック・ボーショー)に会いに行きます。
ジョルジュは、世界的な大ベストセラー『デダリュス』の作者で、エリックとは旧知の仲でした。
ジョルジュは『デダリュス』の覆面作家で、だれにも正体を知られていませんでした。
翻訳作業が進み始めたある日、エリックのところへ、メールが届きます。
その内容は、「死にたくなかった男」の冒頭10ページが、ネットに流出されており、24時間以内に500万ユーロ(約6億円)を用意しないと、次の100ページも公開するというのです。
原稿は、厳重に管理されており見ることができたのはこの9人だけでした。
エリックはこの中に犯人がいると考え犯人捜しを始めます。
メンバーの部屋を引っ搔き回し捜索を続けますが、成果は得られず、犯人は100ページが流出されてしまいます。
犯人は見つかっていませんが、ここに犯人がいるはずだと激昂したエリックは、翻訳家達への食事や暖房(電気の供給)をストップし、精神的にも追い詰めていきます。
そんな中、部屋の中に書きかけの小説を見つけられ、つまらない・才能がないと卑下されたエレーヌ・トゥクセン(シセ・バベット・クヌッセン)が首を吊って死んでいるのが見つかります。
まだまだ続く捜索の時間に翻訳家のメンバー達は寒さと恐怖に震えていました。
“9人の翻訳家 囚われたベストセラー”ネタバレ感想
久々にキター!って感じのヒットでした。
実話を元にしている為にリアリティがあり、ぐいぐい引き込まれます。
特に開始54分くらいからがいい。
全員があやしい要素を少しづつ持っており、中盤までは犯人一切分かりません。ふいに訪れる回想シーンから謎が次々と現れ始め、一気に物語が動き始める感じがたまりません。
犯人は自ら名乗りでますが、そこから更なる展開が待ち受けており最後まで楽しめるようになっています。
正義は勝つ!と言ったところでしょうか。
ミステリー好きな方におススメです!
“9人の翻訳家 囚われたベストセラー”見どころ
実話が土台のフィクション!?
有名な話ですが”9人の翻訳家 囚われたベストセラー”は実話が土台になっています。
※勿論、書籍完成前に流出したり、障害事件はありません!
『ダヴィンチコード』の原作者であるダン・ブラウンの4作目『インフェルノ』を出版する際、流出を防ぐため各国の翻訳家を地下室に隔離し翻訳を行った。
この話を元にしたフィクションです。
飛び交う多国語!
翻訳家が地下室に集められ『デダリュス』を9ヵ国語に翻訳していきます。
- ロシア語
- イタリア語
- デンマーク語
- スペイン語
- 英語
- ドイツ語
- 中国語
- ポルトガル語
- ギリシャ語
クライマックスでエリックが8人の翻訳家に囲まれて、フランス語・スペイン語・中国語・ギリシャ語などが飛び交う緊迫感のあるシーンがあります。
カメラワークもさることながら、銃を突き付けられた翻訳家達がその状況を打破するための迫真の演技は息をするのも忘れるほど夢中になってしまいました!
犯人は誰?
『デダリュス』の完結編である「死にたくなかった男」の本編が少しづつネット上に流出されていきます。
一体誰が犯人なのか。
しかし、決め手に欠けます。
一番怪しく感じるのは、ロシア語翻訳のカテリーナ(オルガ・キュリレンコ)です。
作品に惚れこみヒロインのレベッカのコスプレをし、翻訳の際に与えられた原作に涙し、続きを見る為にエリックのスーツケースを開き中身を見ようとしていました。
続いて、ギリシャ語翻訳のコンスタンティノス(マノリス・マブロマタキス)。
大学の教員であるものの給料がままならないギリシャで、収入を補うために翻訳を行っており、「食っていくためなら金の前にひれふす」とお金への執着と取れるような発言をします。
イタリア語翻訳のダリオ・ファレッリ(リッカルド・スカマルチョ)はSNSにオスカル・ブラックに会えると投稿し、強制的に削除をされています。
他にも、一癖も二癖もありそうなメンバーのため正直、最初の段階での真犯人探しは不可能です。
エレーヌ・トゥクセンの自殺は必要か?
デンマーク語翻訳のエレーヌ・トゥクセン(シセ・バベット・クヌッセン)は翻訳家でありながら自身も小説家を夢見ていましたが、収入を得るため翻訳の仕事を行っていました。
『デダリュス』の翻訳中も自分の部屋に戻ると自身の小説を少しづつ仕上げていきます。
しかし、「死にたくなかった男」の流出騒ぎで部屋を引っ掻き回された際に、書きかけの手書きの小説が見つかってしまいます。
デンマーク語が読めなかったスタッフはそれを怪しいと思い、エリックに報告します。
エリックはデンマーク語が読めたため、「死にたくなかった男」の内容ではないことを理解しますが、エレーヌに対し、「つまらない・才能が無い」と言い捨て、書きかけの小説を暖炉に投げ入れ燃やしてしまいます。
一瞬の驚きのあと、目に絶望の色を浮かべたエレーヌは、その後、首を吊って自殺します。
この自殺に少しの違和感を覚えます。他の方の記事でも見たので、同じこと思う人もいるんだなぁと思いましたが。
8年越しの未完の小説と言っても、結婚・出産を機に離れていたもので、翻訳作業の期間中に仕上げる予定だったとのこと。
才能がないことはどこかで理解していただろうし、燃やされたからと言って自殺するほどなのかな?と。
ただ、小説を燃やされた後、エリックの更なる圧力で起こった仲間割れや、電気・食事の供給ストップで精神が追い込まれたと考えれば理解出来なくはないか。
でも、ストーリーを重くするためだけなら無くても良かったんじゃないかと思います。
メールの文末
エリックに届く脅迫メールにはある共通点がありました。
「今世界が求めてるもの それは愛 優しい気持ち」
これは、翻訳家の9名とローズマリー(サラ・ジロドー)とでボウリングをしながら乾杯し歌っていた曲の一節でした。
「赤面する物は罪人 潔白なら何も恥じない」
これはドイツ語の翻訳家イングリット・コルベル(アンナ・マリア・シュトルム)が話した言葉です。
そして、
「自分のものは自分で守れ」
これは、『デダリュス』の出版に先駆けて行われた記者会見でエリック本人が言ったもので、犯人だと目星をつけた際にカテリーナに向けても言っています。
この言葉全てが使われたときにその場にいた人間が、メールを送ったことになるのですが、今作は時間軸が前後するのでやはり最後まで真実はわかりません。
ただ、この伏線の使い方が巧みでその上しっかり回収してくれるので、すっきりとした内容になっています。
“9人の翻訳家 囚われたベストセラー”まとめ
いかがだったでしょう?
個人的にはかなり好きな内容で、かなり楽しめました。
普段よりも少し長めに記事を書いているのが何よりの証拠かもしれません。笑
ベストセラーを人質に取ることや、実話を基にした翻訳家の軟禁も面白いと思いましたが、一番のネタである犯人の真実の部分は「そう来たか!」と思わず口に出してしまうほどでした。
是非ご覧になってください。
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