こんにちは。tsumuriです。
7/17に配信と公開が同時という世界初の封切りをした映画『劇場』を見ました。
皆さんご存じかと思いますが、原作は「火花」が大ヒットした又吉直樹さんです。
下北沢、高円寺を舞台としたリアリティのある映画でした。
恋ってイタイな。
広告
目次
劇場
『劇場』 (配給:吉本興業)
●原作:又吉直樹「劇場」(新潮文庫)
●監督:行定勲 (世界の中心で、愛をさけぶ / ナラタージュ)
●脚本:蓬莱竜太
●音楽:曽我部恵一
●出演:山崎賢人、松岡茉優 寛一郎 伊藤沙莉 上川周作 大友律/井口理(King Gnu) 三浦誠己 浅香航大
●7月17日より公開 配信
あらすじ
永田(山崎賢人)は高校の同級生である野原(寛一郎)と劇団「おろか」を立ち上げる。
脚本&演出を手掛けていたが、前衛的な内容の舞台に対し、観客からは酷評の嵐。ついには劇団員からも見放されてしまう。
ある日、女優になる夢を抱き、服飾の学校に通う沙希(松岡茉優)と出会い、積極的に話かける。
最初、不審に思っていた沙希だったが、様子が心配になり一緒に喫茶店に入る。
そこから二人の交際が始まり、永田は沙希の家に転がり込む。
沙希は永田の才能を信じて支えるが、永田の仕事はなかなか好転しない……。
ようやく書いた脚本を野原に見せ、主演女優を沙希に頼むことになる。
沙希は、中学時代から演劇部に所属していた為、永田の想像以上の演技を見せ、客入りも上々になり幕を閉じた。
しかし、元々前衛的な内容を好む永田は、それ以降沙希を自分の舞台に立たせることは無かった。
ロクに働きもせず、夕方に起きだし、辺りを散歩し、カフェで脚本に頭をひねり、満足のいかないまままた部屋に戻る。
そんな暮らしの中、お金を作る為、沙希は学校に行かず、朝も夜もバイトを入れ始めた。
見どころ
ダメな男・永田
いやー、見事なダメ男ですね。教科書通りのダメ男ぶりにちゃんとイライラ出来ました。
ただ、働かない脚本家ということでもっさい感じを出しているんですが、そこは天下の山崎賢人。
髪ももさもさで、ひげも蓄えているんですが、色気がすごい。
シャツの外したボタンから垣間見られる胸板に女性はドキドキ出来るのではないでしょうか。
ただ、しっかりコミュ障の役どころの為か、沙希とキスはおろか抱き合うシーンなどもほぼありません。(下記で又吉さんのコメントを引用しています。)
手を繋ぐかどうか悩んでいるレベルです。
それでも、自分の才能にだけはプライドを持っている難儀なダメ男です。
ただ、後半に永田は自分で言いますが、自分に才能が無いことには薄々気付いています。
ただ、今までやってきたことを変える勇気がないんです。
献身的な女性・沙希
設定では、女優を夢見るといった記載がありますが、劇中では、服飾関係の仕事に就きたいのかな?と思わせるような描写しかありません。
一言で言うと良い子です。良い子過ぎて男をダメにするタイプですね。
母親から送られてきた段ボールを開きながら、「半分は知らない男に食べられるの嫌だなぁ。ってお母さんが言ってたよ。」と冗談交じりに永田に言うシーンがあります。
そこで、永田はまさかの「沙希ちゃんのお母さん嫌いだな。性格悪くない?」と毒づきます。
それに対し、「私の言い方が悪かったね、ごめんね。頑張って送ってくれてるからお母さんを悪く言わないでね。」と自分を悪者にすることでその場を収めようとします。
母親にそんな言い方されて腹が立たないのもどうかと思いましたが、ダメ彼氏と良い子彼女の構図ここに極まれり。
そんな沙希は永田を守りたかったんです。
「ここが一番安全な場所だよ。」部屋に戻るとそういって永田を安心させてくれていた。
しかし、そんな生活の中で心身ともに疲れ果てて行きます。
そして親の勧めで実家に帰ることになります。
あれ?井口さん?
これもご存じかとは思いますが、まさかのking Gnuのボーカル井口さんが出演しています。
永田と同じ年で、小峰劇団「まだ死んでないよ」の脚本、演出を手がけている小峰役で出てきます。
この劇団の舞台で永田は感動し涙を流しますが、小峰が同い年と知り、さらに絶望することになります。
セリフもいくつかあり、真剣な場面なのになぜか笑いそうになってしまった非礼をここでお詫びしたいと思います。
原作・又吉直樹
「僕は結婚もしてないし、恋愛はよく分かっていない。すごく難しいものやなと思います。基本的に人は好きですし、もちろん女性を好きになることはある。いろいろな人に話を聞いても、人間と人間が出会って関係を深めていくやり方はバラバラじゃないですか。そういうのも含めて面白い。性的な場面を描写する方法もあるとは思いますが、ああいう(直接は描写しないという)形になった。恥ずかしかったから書かなかったわけではありません」
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO15362310V10C17A4000000/
「劇場」の中では男女を思わせる性的な描写は一切なかった。
男と女ではあるけど、人間と人間という部分でのジレンマだったり、葛藤だったりを描きたかったんですね。
(作中劇のような形で)小説に登場する演劇は若い頃にやって失敗したコントなどが基になっています。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO15362310V10C17A4000000/
永田が書いた脚本の舞台のシュールさを考えると、又吉さんの芸風と少しマッチする部分もあるような気がする。
それを考えると舞台のシーンはより楽しめるそうだ。
まとめ
コミュ障のダメ男とそれを守りたい純粋な女の恋愛物語。
人より少しだけ、才能があった為にその道を選んでしまい、あがいてもがいて、人に罵声を浴びせ浴びさせられしながら、唯一恋人の前では子供のようになるダメ男を、純粋な心の彼女はずっと守りたかったのでしょう。
出来ることなら。
2人が離れた後、映画のクライマックスに一つだけ仕掛けがされています。
それを話すほど野暮ではありませんが。
沙希の最後の言葉は「ごめんね。」でした。
是非ご覧になってくださいね。
コメントを残す